次世代に伝えたいアドベンチャーストーリーと挑戦することの大切さ
- 制作内容
- 自社出版絵本
- クライアント
- 株式会社リプロ様
一本の杭(くい)をきっかけに、これだけの偶然が重なるとは。まさに必然としか言いようがありません。
株式会社リプロ 代表取締役社長 岡田 謙吾様
株式会社リプロ 事業内容
”地球にやさしい"をコンセプトにプラスチックリサイクルのトップメーカー。境界杭を中心に環境企業としてこだわりの商品を提供。情報杭やセンサー杭など様々な特許を開発。リサイクル技術のパイオニアとして国内外へ展開中。
8000キロを渡った杭(くい) オーカスくんの概要
東日本大震災の翌年2012年。
日本(和歌山県)から8000キロ離れたアメリカシアトルのオーカス島へ。たったひとりで太平洋横断した一本の杭(くい)オーカスくんが世界をつなげるノンフィクション大冒険ストーリー。
突然アメリカから連絡があった時のこと、シアトルへ行く経緯など
半信半疑です。杭が海を渡ってアメリカまで辿り着くとは。その後はメーカーとしての責任感です。
アメリカから国際電話が入ったのは2012年。東日本大震災の翌年で、日本から流出した瓦礫が太平洋を横断しアメリカ西海岸へ漂着していることが現地で話題となっていました。ホエールウォッチングの船長トムさんが、オフィスがある桟橋の下に浮いている杭を偶然拾い、地元テレビ局を通して日本からの震災瓦礫として取り上げられたことをきっかけに、その番組を観たアメリカの友人から連絡が入りました。
まずは当社が製造・販売した杭かどうか確かめるため、杭に記載されているナンバープレート番号を聞き過去の伝票を調べると、和歌山県の販売店へ提供した杭と判明したのです。さらに確信を得るため和歌山県にて現地確認しました。そこにはあるべきはずの杭が大雨で発生した土砂により流されて不明とのこと。たとえ一本の杭でも引き取りに行こうと決心した瞬間でした。
- 岡田社長が到着したシアトル オーカス島の方の反応はいかがでしたか?
- 折角足を運んだにも関わらず、すぐには会ってくれないのです。どうも不信感を抱かれていたようで。
2日間ほど宿泊先で待機していました。アメリカの友人が同行してくれたこともあり、ようやく第一発見者且つ杭を保管されていたトムさんと面会。一本の杭を引き取るためにわざわざ日本から訪問した珍客に驚きを隠せないようでした。
私の訪問にトムさんは興奮し感動を覚えたようで、現地の政治家を紹介してくださり、地元テレビ局への出演機会までいただけました。そして日本(和歌山県)とアメリカ(オーカス島)を繋いだ杭として現地で一躍有名になり、オーカスくんと名付けられたのです。
まさかこのような展開になるとは想像すらしていませんでした。偶然の重なりが国境を越えた縁を育むとは。何か必然的なものを感じずにはいられませんでした。
- なぜ、絵本にしようと考えたのでしょうか? 又、最も伝えたかったことは?
- 第6感というものでしょうか。個人的に音楽が趣味で、作詞、作曲やプロモーションビデオの制作など行っています。芸術肌の第6感というか、青葉印刷さんに相談している中で「絵本」というキーワードが出たことが始まりです。主観的に感じたことを他者に話すことで、客観的な視点でのアイデアをいただきました。
8000キロを渡ったオーカスくんのアドベンチャーストーリーは、グローバル社会に生きる我々に冒険心と挑戦する勇気を忘れてはならないというメッセージを込めているのです。
- 企画制作過程の苦労や印象に残っていること
- ノンフィクションですから、ストーリーを組み立てることは非常にスムーズに進みました。イラストもプロのマンガ家さんの協力を得て、表現豊かな内容になったと思います。
想定外に苦労した点は英語の翻訳です。日本人の翻訳家数名に依頼し比較したのですが、それぞれ文章が異なるのです。最終的に親戚のアメリカ人の協力で現在の翻訳が完成しました。
- 読者からの反響はいかがでしょうか?
- 様々な反響をいただいています。特に印象に残っているのは、大阪在住の5歳の女の子が図書館でこの絵本を借りて感動し、和歌山県の杭が流れた場所を見学したいという手紙が届きました。私は早速返事をし、オーカスくんを連れて現地でお会いすることとしました。初めて実物のオーカスくんと対面した女の子の喜びに満ちた表情は今でもはっきり覚えています。
また、日本国内以上に海外の反響が大きいことに驚いています。ブルガリアで開催された世界測量協会の会議にてオーカスくんのストーリーと合わせて製品発表を行ったところ、「Little Orcas World」として様々な国の測量士によって、この絵本が紹介されるまでになりました。このような広がりになった背景には、海外では本来、杭は国と国の境界線を分ける道具として認識されているのですが、オーカスくんは国と国をつないだという素晴らしい出来事で、杭に対するパラダイムシフトが起こったのではと感じています。
- 青葉印刷の提案・ディレクションはいかがでしたか?
- とにかく無理難題に対して聞く耳を持っているということに感謝しています。今回のような無形資産に対し、面白い!と感じる感性を持ってくれているのでこちらも相談して良かったと思うのです。モノ余りの時代、絵本という文化的コンテンツを提供することで得られたものは大きいと感じています。青葉印刷さんへの相談からスタートしたプロジェクトです。第2作、第3作についても引き続き協力をお願いします。
- 今後のメッセージをお願いします。
- オーカスくんを通じて、挑戦することの大切さ、挑戦することによって人との出会いや支援が得られることを感じてほしいです。グローバル社会の中、オーカスくんと同じく国境を越えて冒険をするようなチャレンジ精神を次世代の子どもたちに伝えていきたいと思います。
そして、オーカスくんに続く杭が見つかっています。これから第2作、第3作とアドベンチャーストーリーが展開されるかもしれません。子どもたちへのメッセージだけでなく、社会貢献に繋がるコンテンツマーケティングを展開できれば、非常に嬉しく思います。