これからの販促を考える
販促の目的
販促とは、文字通り販売(営業)を促進し売上向上を目的としますが、長期的には、MBA(Master of Business Administration:経営学修士)でいうところの「マーケティング(marketing)」の目指す「 顧客から信頼・支持され、継続的に成長する」ことを本質的に捉えて目的としていきたいものです。
より良い販促を実現するには
そのためには、「顧客にとって価値のある製品やサービスを提供するために必要なすべての要素をコントロールする 」 という、言葉にすれば簡単ですが、自己中心的な人間社会の中でこれをすべて実現するというのはなかなか難しいところです。
そんなときは過去の事例から学ぶというのが定石。とはいえ経営学という分野も100年くらいなもので、まだまだ歴史の浅いものですが、自分で考えるよりも、そこから学べることはたくさんあると思います。さきほどのMBAのマーケティングもそうです。3C分析 や 4P などの基本的な手法は、いまでも多くの企業で活用されています。
マーケティングの重要性と矛盾
市場が成熟し、製品、サービスの機能面での差別化が難しくなるにつれて、マーケティングの重要性は増しているといわれています。
専門家の間では「顧客の認知をどうコントロールしていくかがマーケティング戦略の優劣を決する。顧客とのあらゆるタッチポイント(接点)で、 顧客の認知をコントロールする重要性が高まり、 認知心理学や行動経済学を活用する取り組みが行われている。」といいます。
しかし単純に買う側からすれば、売る側にコントロールされたくないと思うのが普通ですよね。もっといえば、企業がいくら売上を伸ばしたいからといって「売り込みされたくない」ですよね。
経営学者である ヘンリー・ミンツバーグ氏は「マネジメントは「クラフト(=経験)」と「アート(=直感)」と「サイエンス(=分析・解析)」の 三つを適度にブレンドしたものであるべき*」と主張しています。バランスを欠いたマーケティングや販促が裏目に出てしまうこともあります。
たとえば、最近よく聞くようになったMA(マーケティングオートメーション)のような分析ツール。便利ですが、頼りすぎると本質を見失うことにもなりかねません。また、ネットで見られる「炎上」というのもその一つでしょう。
世の中の変化に対応するために
いま時代が変化しています。 世の中が変わってきました。 昔のような売り方では売れなくなったという声も聞くようになりました。
そうした中で、ここでは世の中の動きや過去のマーケティングの事例などをご紹介し、売り手と買い手の幸せなマッチングについて「これからの販促」を考えていけたらと思います。
* 引用: ヘンリー・ミンツバーグ『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』(日経BP社、2006年)