紙の需要と新たな紙製品
印刷・情報用紙や新聞用紙などのグラフィック用紙は、インターネットやデジタル化の普及などのペーパーレス化や
環境意識の高まりによって減少傾向にあります。特に、イベントの中止やテレワークの普及によって需要が急減しました。
また、国内外の経済状況や社会情勢にも影響され、2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大によって、
国内の紙・板紙の生産量は前年比10.0%減と大きく落ち込みました。
一方で、衛生用紙や包装用紙、段ボール原紙などのパッケージング用紙は、
食品向けや家庭向け、通販向けの需要が底堅く、2020年には初めてグラフィック用紙の生産量を上回りました。
新たな紙製品や技術の開発によって、脱プラ代替などの新しい需要が生まれる可能性もあります。
【注目の技術】セルロースナノファイバー(CNF)
植物の繊維を分子レベルで解きほぐすことで得られるセルロースナノファイバー(CNF)
CNFは鉄の5分の1の軽さでありながら、5倍以上の強度を持つと言われ、
電化製品や建物、自動車、航空機など、非常に広範な分野に応用可能とされます。
軽量のため燃費の面でも大きなメリットがあり、プラスチックなどに比べて微生物による分解が容易で、
燃やしてもCO2を排出しません。
| CNF製造技術は2006年に東京大学が確立しました。
| 2007年からは東京大学と日本製紙などの共同プロジェクトで実用化が模索され、
| 2015年に世界で初めてCNFを用いた商品として日本製紙クレシアから衛生用品が発売されました。
現在のところCNFが実用化されているのは従来の紙製品に近いものですが、
今後さまざま領域で活用が期待されています。
(参考リンク)
岡山県産業労働部産業振興課
おかやまグリーンバイオ・プロジェクト
https://www.pref.okayama.jp/site/greenbio/766709.html